東北大学によるセルロースナノファイバー蓄電デバイスの発表
東北大学の3月23日付発表によりますと、東北大学・静岡大学・仙台高等専門学校・日本製紙株式会社が共同で、セルロースナノファイバー(CNF)を用いた蓄電デバイスを開発したそうです。
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原理的には電気二重層キャパシタ(EDLC)と同様の蓄電デバイスということですので、電池とは異なり充放電時に化学反応を伴わなず、静電気をそのままためるタイプの蓄電デバイスということになります。
注目すべきはCNFの利用と電解液不使用という点。
まず、平均径3nmとナノサイズのCNFをシート化して適用したとのこと。
従来のEDLCで使われている活性炭電極を代替しているものと思われます。
また、電解液不使用の部分について、具体的にどのような材料で代替されるのか発表の中では言及されていませんが、なんらかの固体電解質を用いることで安全性を向上させるということだと思われます。
ファンデルワースル力の活用
さらに、筆者がもう一つ注目した点は、発表の中でファンデルワールス力に触れていることです。
ファンデルワールス力とは、分子間に働く弱い引力のことです。
引力というと、万有引力の法則にあるように、質量が大きくなればなるほど大きくなり、また距離が近くなればなるほど大きくなるのが知られていますね。
数十 nm 程度以下の大きさの粒子はファンデルワースル力により互いに引きつけられて凝集しますが、CNFもバインダー樹脂など用いずとも乾燥させるだけでカチカチに固まります。
今回の発表では、平均径3nmと微細な原料であるCNFを用いることで、電極シート上の凹凸面をナノサイズ化=凹凸同士の距離が近い構造にすることにより、そこにファンデルワースル力が効くことで、物理的に電子を吸着できる量が増加する、という原理が述べられており、画期的な発明だと思います。
極細繊維に代表されるナノテクノロジーは日本のお家芸と言える技術領域であり、今後も用途開発が広がることを期待したいです。