世の中では化学反応によってもたらされる現象と、原子核反応によってもたらされる現象との両方が観察されるため、必ずしも観察の度にどちらの反応であるかが明確に区分されているわけではないと思います。
本日は、化学反応と原子核反応との原理と、身近な観察例とをご紹介したいと思います。
化学反応は原子や分子の結びつき方が変化すること
ものの化学的性質は陽子の数と電子の数で決まります。
このうち陽子は原子核内で閉じ込められており変化が起きにくいのに対して、原子核の周りを周回している電子は他の原子に奪われたり、逆に他の原子から電子を奪ったりと、激しく挙動が変わります。
このように原子が持つ電子の数の変化に起因する原子や分子の結びつき方の変化のことを化学変化と呼びます。
具体例としては、アルカリ金属原子が最外殻の電子を他の原子に渡す際に同時に陽イオンを放出することで電池が充電されることが挙げられます。
原子核反応は原子核が別の原子核に変化すること
これに対し原子核反応は、原子核に外部から粒子が衝突するなどして原子核内の陽子と中性子を結合させている核力に変化を生じることで、陽子と中性子の数や構成比に変化が起きることとなります。
具体例としては、太陽が核融合により水素からヘリウムを作り出しているのですが、水素とヘリウムでは原子核内の陽子:中性子比率が変化しています。また、素粒子の一つであるニュートリノやエネルギーも放出します。
昔の錬金術は、金とは別の物質を化学反応させることで金を得ようとしていたわけですけれども、化学反応では原子そのものは変化しませんので金を得ることはできませんでした。
しかし、原子核反応を用いて陽子と中性子の数や比率を変化させれば基本どんな原子も作ることができるため、原理的には金を得ることも可能です。
ただし、この物理的アプローチは膨大なコストがかかるため、普通に金を購入するのに対するメリットがないのだそうです。