最近、店舗や大型施設の入り口にサーモグラフィーの設置が増えていますね。
発熱している人の入店や入場を未然に防ぐのが目的と思われますが、本日はサーモグラフィーの原理と電磁波の観測についてごく簡単にご紹介したいと思います。
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赤外線は常にあなたの身体から放出されている
実は、私たちの身体からは、赤外線が放出されています。
赤外線は以前の投稿でもご紹介しましたとおり波長約800nm-1mm程度の電磁波であり、人間の目では光として知覚されず皮膚で熱としてしか捉えることができないという特徴があります。
サーモグラフィーはこの人体から放出される赤外線の放射量を測定しているのです。
赤外線の放射量は物体の温度の4乗に比例すると言われており、温度が高ければ高いほど赤外線センサー上は明るく検知されます。
観測された赤外線の量に応じて赤や青に温度を塗り分ける画像処理を行なったものがサーモグラフィーというわけです。
赤外線暗視カメラも同様の原理であり、人間の身体からはこの赤外線=熱放射による電磁波が常に放出されているため、暗闇でも赤外線暗視カメラを用いれば人影を写すことが可能です。
宇宙マイクロ波背景放射の場合
電磁波を観測することで人体の体温のような36-37℃近辺の熱放射だけでなく、もっと高い温度や低い温度からの熱放射も捉えることが可能です。
例えば、宇宙は非常に冷たく、セ氏温度は−270度(−270℃)であり、絶対温度では3度(3K)とされています。
体温による熱放射と同様に、宇宙はこの温度(3K)での背景放射といわれる電磁波(=マイクロ波)で満たされています。
マイクロ波ですからその波長領域は1mm-1m程度と赤外線よりもさらに長いですね。
宇宙マイクロ波背景放射とは、ビッグバン直後の宇宙が非常に高温だった頃の熱放射が、その後の宇宙空間の膨張により電磁波が赤方偏移を受けて波長が長くなり冷えたものと考えられており、宇宙の全方向から観測されています。
このように、人間の目では見ることのできない電磁波を観測することで、人間の体温よりずっと低い温度領域であっても、熱放射を捉えることが可能であるというところは非常に面白いですね。