先日CNNが、中国の研究チームが雲南省でコウモリから新たなコロナウイルスを複数発見したことを明らかにした、と報じました。
コウモリといえば、武漢のウイルス研究所の著名な女性研究者が「バットウーマン(コウモリ女)」の異名を持つなど、コウモリと伝染病研究とは切っても切れない関係にあるように思います。
そこで本日は、コウモリが伝染病の宿主になりやすく、調査・研究対象になりやすい理由について紹介させていただこうと思います。
理由①=密である
多くの野生動物は、たとえとある個体が伝染病に感染してもそれが大規模な流行にはなりにくいのが普通です。
なぜなら、病気を大流行させるほどの個体間の接触機会がないからです。
ところがコウモリの場合は狭い洞窟の中で多くの個体が密集して暮らしているため、病原体がそこで一気に広がり変異をするリスクが高い、と言えます。
理由②=飛んで移動する
コウモリは飛翔することができる動物であり、飛翔できない動物と比較して個体の行動範囲が広いといえます。
別々の巣(洞窟など)から飛んできたコウモリが同一の餌場や水場などに集まるなど、広範囲で個体同士が接触して感染が急速に広まる可能性があります。
理由③=音声・超音波を利用したコミュニケーション
コウモリが暗闇で獲物を捉える方法として、口や鼻腔から超音波を発し、跳ね返って来る音を左右の耳で捉えて対象物の位置情報を正確に獲得するエコーロケーション(反響定位)という手法があります。
また、コウモリは子育ての時期に母子ともに他の動物と比較してより頻繁な発声をするらしく、とにかくコウモリはよく話す動物と言えます。
このことから、コウモリは病原体を飛沫を通じて感染させる可能性が高い動物といえます。
コウモリが伝染病の宿主になりやすい理由を列記してきたわけですが、コウモリの特徴はとある動物にもピタリと当てはまることがわかると思います。
そうです、私たち人間とよく似ています。
私たちは都市部に密集して暮らし、満員の通勤電車に揺られるなど密な状態になります。
新幹線や飛行機で遠くまで移動し、行く先々で病原体を拡散させます。
また、言語コミュニケーションに頼る部分が大きく、飛沫による感染リスクが高い種ということができます。
コウモリが伝染病の研究対象になるのは至極当然と言えるでしょう。