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原子核の周りを回る電子の軌道
以前の投稿で、原子は原子核の周りを電子が回っている構造をしていることを記載させていただきました。
ところが、原子核の周りを回る電子の数や、電子がどのような軌道を回っているかというのは、元素それぞれで異なっているんです。
例えば、水素は電子が1つだけ1つの軌道を回っていますが、ヘリウムは2つの電子が1つの同じ軌道を回っています。リチウムには電子が3つありますが、そのうち2つは内側の軌道、残りの1つは外側の軌道を回っています。この電子の回る軌道のことを電子殻と呼ぶそうなのですが、現在周期表に載っている元素は電子殻が7つが最大となっています。
ボーアの理論
通常は決められた軌道を決められた個数の電子が回るのですが、外部からエネルギーを受けると、つまり原子の外部から別の電子がやってきて、とある軌道の電子にぶつかると、ぶつけられた方の電子が一つ外側の軌道に移ってしまうことがあり、これを励起と言うそうです。
一つ外側の軌道に移った電子は、元々周回していた軌道へ戻って安定した状態になりたがる傾向があるそうなのですが、元いた軌道へ戻る(遷移する)際にエネルギーを発するそうなんです。つまり、外部から外部から受けたエネルギーを今度は放出するんですね。これが人間の目には光となって認識されます。
このことをデンマークの物理学者ニールス・ボーアは「電子がある軌道から別の軌道へ移るとき、そのエネルギー準位の差のエネルギーを持つ光子を1個だけ吸収または放出する」とまとめています。
蛍光灯が光る理由
さて、このボーアの理論は今日さまざまに応用されています。
例えば蛍光灯ですが、蛍光灯はガラス管の中に水銀蒸気などでできたガスが封入されています。
これにフィラメントを温めて発した電子を放電しガスの原子の電子にぶつけ、ぶつけられた電子が励起と遷移をすることで紫外線が発生します。私たちが見ているのは紫外線がガラス管に塗った蛍光塗料に当たって可視光となったものなんですね。
ネオンサインも同様の原理です。
ガスの一種であるネオンがガラス管の中に封入されたものに電子を放電し、その電子がネオン原子の電子にぶつかり励起と遷移をすることで、遷移する際に放つ赤い光を見ているのです。
カメラのフラッシュなどで使用されるキセノンランプも同様の原理ですね。
普段私たちが何気なく見ている光源が、実はバリバリの量子力学の理論に裏付けられているというのが意外で面白いですね。