宇宙の構成要素（再登場）
以前の投稿で、宇宙を構成する物質の割合が以下のように考えられている事をご紹介させていただきました。
・通常物質： 5%
・暗黒物質： 27%
・暗黒エネルギー： 68%
https://www.shittaka-naturalscience.com/未知の物質、暗黒エネルギー/
私たちに馴染みのある、原子からできている通常の物質はたったの5%程度しか占めておらず、残りの95%は暗黒物質や暗黒エネルギーと呼ばれる、何だかスターウォーズに出てきそうな名前の謎の物質であることをご紹介しました。
また、宇宙の構成要素の中で最大の比率を占める暗黒エネルギーについても、上記の投稿でその性質をごく簡単にご紹介させていただきました。
今回は、暗黒エネルギーの存在およびその性質が提唱されている背景について、改めてご紹介したいと思います。
宇宙の膨張は加速している
詳細の説明は省略しますが、1998年に米国の研究グループが宇宙の膨張が加速していることを発見しました。
比較的最近の発見ですね。
でも、これはそれまでの宇宙観を覆す大発見だったそうです。
従来の考えでは、宇宙はビッグバンのタイミングで一度きり加速度を与えられて膨張しているので、通常の物理法則に従うのであれば宇宙全体の重力でブレーキがかかり徐々に膨張速度が落ちると思われていました。
減速しながらも膨張を継続するか、もしくは未来のある時点で膨張が止まり収縮に転じ始めるか、のどちらかと考えられていたんですね。
しかし、宇宙の膨張がいまだに加速していることが確認されたことで、その推進力を新たに想定しなくてはならなくなったというわけです。
膨張しても密度が低下しないエネルギー
通常の物質は入れ物が大きくなれば密度が低下します。
例えば、風船の中に小さなビーズのようなものを入れて風船を2倍の体積に膨らませると、ビーズの密度は半分に低下しますよね。
これは、宇宙の構成要素の27%を占めるとされる暗黒物質にも当てはまるそうです。
しかし、宇宙の膨張を加速する力として想定されたのは、何と”膨張しても密度が低下しないエネルギー”なのです。
宇宙は宇宙という入れ物自体が膨張しても密度の減らない（つまり薄まらない）エネルギーで満たされており、宇宙の膨張により宇宙の全エネルギーが大きくなることで、そのエネルギーが重力に逆らい膨張をさらに後押しする、と考えると説明がつくと頭の良い人が気がついたのです。
その、正体がわからないけれども重力を退けるエネルギー（重力斥力）のことを暗黒エネルギーと名付けているわけです。
私たちの宇宙を構成している95%がいまだ正体不明の物質であり、かつそのことに気づかされたのがたった20数年前だということに新鮮な驚きを覚えます。
私たちは知らないことだらけなのです。
