かのスティーヴン・ホーキング博士は生前「次の千年に人類がその活動領域を宇宙に拡大することは必然」という言葉を残しています。
先日の本ブログでは、米国主導による月面有人探査と将来の火星探査を目指す国際宇宙探査計画である”アルテミス計画”をご紹介させていただきましたが、この計画はホーキング博士の予言にある”次の千年”のための第一歩として、未来の人類が振り返る日が来るのではないでしょうか。
さて、大変気が早い話ではありますが、もし人類が太陽系を飛び出して別の恒星(太陽のように自らの核融合反応で光り輝く星)系に活動領域を求めるとした場合の最初の候補となる、プロキシマ・ケンタウリを本日はご紹介したいと思います。
恒星プロキシマ・ケンタウリまでの距離
プロキシマ・ケンタウリは太陽系の一番近くにある恒星です。
その距離は、地球から約4.2光年=26万8千AUといわれています。
AUは以前も本ブログでご紹介しましたが天文単位といい、太陽と地球の平均距離に相当し、1天文単位(1AU) =約1億5千万キロメートルです。
ですから、プロキシマ・ケンタウリまでの距離は約4.2光年=26万8千AU=40.2兆キロメートルとなります。
では、人類がプロキシマ・ケンタウリを訪ねるとしたら一体どのくらいの時間がかかるのでしょうか?
参考になるのは現在地球から最も遠くを飛び続けている探査機ボイジャーです。
ボイジャーが光速で4時間かかる距離(=4光時)離れた冥王星まで到達するのに約20年かかったことから、同じ速度で地球からプロキシマ・ケンタウリを目指すとなると4.2光年の距離を移動するのに何と約18万年もかかることになります。
恒星プロキシマ・ケンタウリの特徴
プロキシマ・ケンタウリは太陽と同じく水素の核融合により輝く恒星です。
直径が太陽の約7分の1程度と小さく暗い星であることから、地球から肉眼では見ることはできません。
また、不規則に明るさが変化する変光星です。
惑星プロキシマ・ケンタウリb, cおよびd
プロキシマ・ケンタウリ系が注目されているのは、太陽系から最も近い(といっても上述の通り充分遠いですが)ことと、いくつか惑星の存在が確認されているからです。
現在までに発見された3つの惑星は、それぞれ発見された順番に惑星プロキシマ・ケンタウリb, cおよびdと名付けられています。
恒星プロキシマ・ケンタウリからの距離は、近い順に惑星プロキシマ・ケンタウリd, b, cとなります。
このうち、惑星プロキシマ・ケンタウリbについては、恒星プロキシマ・ケンタウリから受ける熱量が地球が太陽から受ける熱量と似ていると推定されることから、生命が誕生するのに適した環境が整っている可能性があると考えられています。
太陽系から最も近い恒星系であるプロキシマ・ケンタウリでさえ、現在の宇宙航行技術で人類がたどり着くことは非現実的ですが、されど広い宇宙の中では最もご近所です。
近年新発見が続いており、目が離せない恒星系です。