太陽系内で地球上の生命が生存できる可能性が最も高い惑星の一つ
以前の投稿で、人類による探査活動による汚染の与える影響度の高さや、生命が存在している可能性の高さなどを考慮して、宇宙探査活動の形態や惑星保護要求を定めた惑星保護方針があることをご紹介しました。
そこでは、5つのカテゴリーが設定されており、最も厳しい基準である「カテゴリー5」に該当する3つの天体におけるミッションでは、探査機が地球に帰還する前の滅菌・検査などが定められています。
この、3つしかない惑星保護方針「カテゴリー5」の天体とは、何だったかご記憶でしょうか?
そうです、火星、土星の衛星エンケラドス、そして木星の衛星エウロパの3つとなります。
本日はエウロパについてご紹介します。
巨大な引っ掻き傷、ガリネア
エウロパは木星の79個ある衛星のうちの一つです。
木星は地球と比較して体積が100万倍大きく、磁場もはるかに強力であるため、エウロパもこの木星の影響を強く受けています。
特に、質量の大きな木星の重力の影響は想像を絶するほど大きいと考えれられています。
エウロパは氷の地表の下に広大な海をたたえる構造になっています。
エウロパが木星から受ける重力の大きさが場所ごとに異なるために生じる潮汐作用が原因で、ガリネアと呼ばれる引っ掻き傷のような特徴的な裂け目が見られます。
このガリネアは、何と長さ1450km、幅20kmにも及ぶという巨大な溝であり、木星の重力により絶えず隆起と沈降を繰り返しているとのことです。
エウロパが木星の軌道を一周するにあたり、地表の最も厚い部分の氷層の隆起は30m程度にも及ぶそうです。
とてつもなく深い内部海
エウロパに生命が存在する可能性を示唆する人が最大の根拠として挙げるのは、液体の水が大量にあることでしょう。
上記の通り地表の分厚い氷層の下には広大な海が広がっており、その海は何と地球の海の最深部より10倍も深いというのです。
そのため、月よりも少し小さいサイズであるエウロパに、地球の2倍の水を保持している可能性があるとされています。
エンケラドスより大量の水蒸気噴出
これまでエウロパに着陸した探査機はありませんが、かのボイジャー探査機(70年代末)やガリレオ探査機(1995-2003年)が木星を周回し、エウロパに関するデータも収集しています。
その中で面白いものは、以前ご紹介しました土星の衛星であるエンケラドスのように、エウロパでも地表から水蒸気の噴出が見られることです。
間欠泉のように地表から噴出された水蒸気は、何と表面から200kmもの高さに及び、噴出量もエンケラドスより多いとされています。
将来、別の探査機がエウロパの噴出物近くを通過することで、水蒸気のサンプルを回収することができれば、エウロパの海水の成分を分生することができる可能性があります。
エウロパの内部海は、地球でいえば南極の厚い氷の下の海の部分に環境が似ているのではないかと言われています。
もし海水の成分を分析できれば、エウロパに生命が存在するかを推測する大きな手がかりを得ることができます。
次期探査機の打ち上げが2−3年以内に迫っているとされていますので、期待が膨らみますね。