昨日の投稿で、超純水の生成にイオン交換の技術が適用されていることをご紹介させていただきました。
実はこのイオン交換の技術は適用範囲が広く、超純水生成の他にも塩素や苛性ソーダの生成や、そして燃料電池の主要部品にも適用されています。
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燃料電池の作動原理
水素と酸素が反応すると熱と水が発生しますが、この反応は激しすぎて”爆発”というレベルであり、宇宙ロケット用の推進力に利用されるほどです。
燃料電池はこの反応を低音かつゆっくりおこさせるために、カーボンの表面にナノサイズの白金を担持させた触媒を用います。
作動原理としては、まず、燃料極側(水素極側)で白金触媒に触れた水素が水素イオンと電子に分かれます。
水素イオンは固体高分子膜を透過して空気極(酸素極側)へ移動し、電子は外部回路を通ってこれも空気極側へ移動します。
固体高分子膜を透過した水素イオンは、空気極側の白金触媒に触れて、酸素および外部回路から回ってきた電子と反応して水を作ります。
これにより水の電気分解と逆の反応が起こっていることになります。
燃料電池で使用される固体高分子膜
水素イオンを透過させる固体高分子膜は、イオン交換基を持つ高分子からなるイオン交換膜です。
現状ではPTFEフィルムに、これもフッ素系の樹脂をコーティングしたものが主流となっています。
この固体高分子膜の役割は、水素イオンを滞りなく移動させるほかに、(1)燃料極と空気極との絶縁、及び(2)水素ガスと酸素ガスとの遮断が挙げられます。
今後の課題
自動車の電動化が本格化し燃料電池車への期待も高まっています。
特に近年は中国勢の開発が盛んであるように見えます。
ただし、燃料電池向けの固体高分子膜にまだ改善・改良が求められている点があるのも事実です。
例えば、耐久性向上や作動温度の高温化といった点です。
燃料電池車の早期本格普及のために、ブレイクスルーが期待されています。