昨日、2021年5月26日は約3年ぶりに皆既月食が見られるということで期待された方も多かったと思います。
関西在住の筆者も胸を躍らせて南東の空を見上げたのですが、残念ながら厚い雲に覆われて見ることができませんでした。
皆既月食で月が赤くなる理由
さて、皆既月食の際の月の色はどうして赤くなるのでしょうか?
これは、以前の投稿でも触れたことのある、可視光の波長に関連しています。
人間の目で認識できる電磁波=可視光は、実はさまざまな波長の電磁波がミックスされたものなのです。
日光にプリズムをかざすと白い光が七色に分解されますが、日光はこれら異なる波長(→異なる色)をもった光が混ざった色をしているのです。
では、皆既月食の際にはどのような現象が起こるのでしょうか?
皆既月食とは、太陽ー地球ー月がこの順に一直線に並ぶことで、日光が地球で遮られて月に届きにくくなる現象です。
この時、地球に近いところを通る日光は地球の大気をかすめて月に届くのですが、この光は日光の元々の白っぽい色ではなく赤い色に変化して月に届きます。
だから皆既月食の月は赤いんですね。
電磁波の波長と障害物の透過性
ここで、可視光に混ざっているさまざまな波長の電磁波の話が関連してきます。
日光を構成する可視領域の電磁波は、波長が短く(400nm付近)紫〜青色の電磁波から、波長が長く(800nm付近)赤く見える電磁波までがミックスされています。
このうち波長の短い電磁波は、比較的障害物に遮られやすい性質があり、地球の大気にぶつかった際にも散乱しやすい傾向があります。逆にいうと大気を透過しにくい性質があります。
波長の長い電磁波は比較的障害物に遮られにくい性質があり、地球の大気にぶつかった際にも散乱されずに透過しやすい性質があります。
皆既月食の時に地球をかすめて月まで届いた光は、地球の大気にぶつかっても透過することができた波長の長い電磁波、つまり赤く見える電磁波が多かったため、月を赤く照らしたということなんですね。
夕焼けが赤いのも同じ理由
実はこの現象は、私たちにとってもっと身近な現象である「夕焼けが赤い」ことの理由でもあります。
夕方の日光は水平線・地平線に近く低いところから注がれますので、日光が大気を通過して人まで到達するまでの距離が、真昼に日光が垂直方向から注がれる場合の大気を通過する距離より長くなります。
つまり、夕方の日光は昼間の日光よりも障害物=大気の影響を受けやすいんですね。
それで、波長の短い青い光は大気を通過できずに、波長の長い赤い光がより多く人まで到達するために、夕日が赤く見えるというわけです。
国立天文台によりますと、日本で次回皆既月食を見ることができるのは2022年11月08日だそうです。
次こそ天気に恵まれると良いですね。