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約60m四方の土地にミミズ200kgが棲んでいる

ダーウイン生涯最後の著作はミミズ本

進化論で有名なチャールズ・ダーウィンですが、彼が生涯を通じてミミズが土壌に与える影響に関心を持ち、研究を続けていたことをご存知でしょうか?

1881年に発表した最後の著作は『ミミズと土(ミミズの作用による肥沃土の形成及びミミズの習性の観察)』といい、ダーウィンが40年間かけて観察してきたミミズが、どのように泥と落ち葉を土壌に変化させるかを主題とするものだったのです。
今回は、ダーウィンが愛してやまなかったミミズの働きについて、簡単にご紹介したいと思います。

土を作るミミズの役割

まず、ミミズが土を作る働きについて、ダーウィンがどのように観察したのかを、デイビッド・モントゴメリー著『土の文明史 ローマ帝国、マヤ文明を滅ぼし、米国、中国を衰退させる土の話』より引用します。

 

狭い居間詰め込まれたテラリウムの中で、ミミズが有機物を土壌に排出する様子を、ダーウィンはじっと観察した。ダーウィンは新しいペットが食料兼断熱材として巣穴に引き込んだ大量の枯れ葉の数を数えた。葉を細かく切り裂き、一部を消化して、ミミズは有機物を、すでに摂取していた細かい土と混ぜ合わせていた。
ミミズは枯れ葉を細かくするだけでなく、小さな岩を砕いて鉱質土壌に変えていることにもダーウィンは気づいた。ミミズの砂嚢を解剖すると、必ずと言っていいほど小さな岩と砂粒が見つかった。(中略)どうやらミミズは、少しずつ新しい岩を掘り起こし、粉々にし、再処理してできた細かい泥をリサイクルした有機物と混ぜ合わせて、土壌を作るのを助けているようなのだ。

土壌動物はミミズ以外にもワラジムシやヤスデなどがいますが、土壌の少なくとも一部はミミズの糞により形成されています。

再び同書によると、ダーウィンは、良好なイングランドの土地1エーカー(約63.61m四方)には何と約200kgのミミズが棲むと試算し、それらミミズ君たちが1年間に1エーカーあたり10−20トンの土を糞により持ち上げている、と算出したというのです。
ミミズはせっせと土壌づくりを行う「自然の庭師」なのですね。

土壌侵食と土壌生成のバランス

土壌は風雨により侵食されれば薄くなり、完全に土壌がはぎ取られてしまうとむき出しとなった岩が直接風化の作用を受けてしまいます。
そうならないようにするためには、侵食よりも生成される土壌の方が多い必要がありますが、そこで活躍するのがミミズなど土壌生物やその他微生物たち、ということになります。

ダーウィンがミミズを愛してやまなかったのは、肥沃な土壌生成にはミミズの存在が欠かせないことに気づいたからであり、現代に生きる私たちが土壌生物や微生物に悪影響を与える農業慣行を続けて土壌侵食と土壌生成のバランスを崩すことへの警鐘を鳴らしてくれていたのかもしれませんね。

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ichiro.k
53歳。大手素材メーカーで複数の営業部門、複数のスタッフ部門を渡り歩き、50歳を過ぎて新規用途探索・製品開発に関わる。文系の学部卒で後にMBAを取得した超文系人間だが、周りが理系だらけの職場で長年勤務することで技術の「知ったかぶり」が得意技に。本ブログでも何となくわかったかのような技術ネタを、さわりだけご紹介し読者の方々の「知ったかぶり」度向上に貢献します。